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『お客様の想いを受け取る』

石田氏:
二年前にismがNHKの「おはよう日本」で遺影写真のことで取材を受けたことがあります。私的なことですが、私自身が三年前に父親を亡くしました。父が亡くなるまでの二年間は母親がずっと介護し、入退院を繰り返していました。
一時、体調が良くなって退院した父はismに来てくれました。そのときに私は父にストレートに「遺影を撮ろうよ」と話しかけました。
父は「そやな」と応じてくれ、父一人の写真や母親と一緒のものなどたくさんの写真を撮影しました。今、画面に出した写真は、私が両親を笑わせながら撮影し母親が気に入ってくれている一枚です。父らしい表情だと思います。

NHKの放映後、神戸から1時間かけて来てくださったご夫婦の方がおられます。これまで奥様がお母様の介護をしてこられたそうです。
そして、「おはよう日本」を見て「ぜひ、私も遺影を撮ってほしい」と熱い思いで話されました。
奥様はどこも身体を悪くされていないのですが、「今の自分を撮ってほしい、そして毎年、来たいと思います。毎年、遺影のつもりで撮ってほしい」と言われました。遺影というと暗く感じるけれど、「今、一生懸命に生きている姿を残したい、それを遺影にしたい」と話を続けられました。この時、僕の思いが繋がったと強く感じ、いい写真が撮れたなと思っています。これが神戸から毎年、来られるご夫婦の写真です。

岡垣氏:
僕の父も母も健在で、親がいるのが当たり前と感じていました。一緒に働いている母とは、よく喧嘩もしています。(笑)三番目の子どもが障害を持って生まれてきて、毎日、当たり前に生活している感覚から、皆が元気でいることの方が奇跡的なことだと思うようになりました。
石田さんの写真とお話から、つい、最近に家内と「自分の父親も母親も孫と一緒でいいから、輝いている姿を残してやりたい、撮ってあげたい」と話していたことを思い出しました。普段、気づかないことを気づかせてあげることができればと思います。

こういう石田さんのような写真を世の中にもっと見てもらって、こういう夫婦がいるということのメッセージを伝え、自分の生活に照らし合わせてもらうことが大事だと思います。