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第2回コラム:「写真館がメッセンジャーとして」

今年の8月に開催されたPGC全国大会で島根県・出雲の八重垣写真館 岡垣 吉典氏が「メッセンジャー」と題して発表されました。この発表は素晴らしく、また同じように兵庫県・姫路のism 石田 直之氏もお客様へのメッセージを大切にしているように聞きました。

そこで、第2回コラムはV-CUBEというWebテレビ会議のシステムを使い、出雲、姫路、神戸で対談を行いました。ぜひ、この対談をお楽しみください。

『お客様にとって、いい写真とは』

葉山(羅針ネット):
今回、このようなWeb会議に参加いただき、有り難うございました。
「お客様へ伝えたい、スタッフに伝えたい、人に伝えたい」というテーマで話ができればと思います。
特に、岡垣さん、石田さんは写真館オーナーとして、それぞれ大切にされていることを事業として実現し、成功されているように思います。
まずは、お客様とのエピソードをお聞かせください。

岡垣氏(八重垣写真館・クウカホームスタジオ):
この写真を見てください。

家族写真の意味を痛感した1シーンでした。
食事するところを撮るというのは、一般に写真館の家族写真にはなりえないですね。
しかし、このお客様は撮影された写真を玄関に飾りたいと話されました。
「写真館が目指すいい家族写真の方向性と、お客様が本気で自分たちのものにしたい家族写真とは違うのではないか。」
最近、家族写真の軸というものが、ぶれているように感じていました。
このお客様との出会いは新しいスタジオ、クウカホームスタジオを建てたことに間違いはないと確信し、自分のやることが明確になったと感謝しています。

石田氏(ism):
実は、この食事されている家族写真は、先月に八重垣写真館さんにお邪魔したときに撮影時の映像と一緒に見せていただたいものです。この家族写真はお父さんを見ていても食事が好きだろうなという家族を象徴した一枚のように思います。素晴らしい写真です。

岡垣氏:
いつも、家族写真の撮影は手を繋いだりしてもらったりカメラマンがシチュエーションを作るのですが、新しいスタジオでは「たからもの」を持ってきてくださいという企画をしました。この企画に対して家族で話し合い、我が家のたからものをそれぞれに持って来てくださいました。実はお客様の方が僕らよりも想像力があって、お客様に自由に撮影スタイルを委ねてみて私たちが形にする、受け皿となって形にするというやり方もあってもいいと感じました。
今回のようにテーマがあることは実は大切なことであり、ただ、お客様にいい写真を撮るということだけではないと感じました。

石田氏:
私の店ではカジュアルフォトがメインなのですが、(カジュアルフォトとは、記念日ではなくても気軽に写真館で撮影する写真です。)基本的には私服での撮影ですが、着物でもお客様がカジュアルだと考えればそれでも良いと考えています(笑)。
ただ、家族で来られる場合は必ず伝えることがあります。予約電話の最後に、家族でテーマを決めてきてくださいとお願いします。

服装を合わせたり、服装はばらばらであっても色使いであったり、帽子のような小物であったり何でもいいですから合わせてはどうですかと話します。撮影に来られるまでに家族で話をされることからismの商品が始まっていると思っています。出来上がった写真だけがismの写真ではないと考えています。

岡垣氏:
もう一枚、写真を見てもらいたいと思います。

この写真はたからもの写真展の第二弾で敬老の日に向けての企画ですが、「おじいちゃんやおばあちゃんにメッセージを書いた写真立てをプレゼントしませんか」というものです。参加資格はご自宅でおじいちゃんやおばあちゃんに宛てた手紙を書いて持ってきた方には撮影料を半額にするというものです。商品としては撮影代半額+プリント代+額となりますが、この写真立てで家族の中で会話が膨らんだりすることを想像しています。これはPGC全国大会で知った「フォト(写真)+コト(言葉)」だと思いました。写真とともに言葉で伝えるということです。